こんにちは!マサルです
2月6日、岸田文雄首相は、少子化対策の財源確保のため、医療保険料に上乗せして徴収する支援金の負担額について、1人あたり平均で月500円弱を見込んでいることを発表しました。
これに対して国民民主党の玉木雄一郎はXにて以下の内容をポストしました。
また、この「少子化対策の財源として導入される『支援金制度』」に対してネットでは
国民に負担させる慣習やめてくれ
国会議員にかけているお金をまず減らすべき
この500円が本当に子供たちに使われるのか?
といったように批判的な意見が数多くみられました。
少子化問題は日本における大きな問題であると長年の間言われ続けている中で日本政府は目に見える成果を出せていないのが現状です。
今回の記事では日本の少子化問題の現状や少子化問題において成果を上げることができている国や自治体を紹介していきたいと思います。
日本における少子化の現状
出典:厚生労働省『出生数、合計特殊出生率の推移』
日本では、第2次世界大戦後に短期間のベビーブームが起こりましたが、1950年代前半には合計出生率が急速に低下しました。
1957年には2.06に達しましたが、その後、1973年までほぼ置換水準の出生率を維持しました。しかし、1974年以降は現在まで続く出生率低下期に入りました。
昨年2023年では、合計特殊出生率は過去最低の1.26を記録し、出生数も77万747人と、外国人を除く出生数が80万人を下回るのは1899年の統計開始以来初めてとなりました。
少子化が起こる理由
少子化が起こる理由としては心理的な要因が大きく影響しており、
- 若い世代の経済的不安定さ
- 出会いの機会の減少などによる晩婚化
- 仕事と子育ての両立の難しさ
- 家事・育児負担の女性への偏り
- 子育て中の孤立感・負担感
- 子育てや教育の重い費用負担
- 年齢や健康上の理由(不妊含む)
といったものが挙げられます。
またマイナビニュースによると、お金が問題で子供が欲しくないと答えたZ世代の割合は43%と約半分を占めています。
子育て費用は大学卒業までの総額でおおよそ3000万円前後と言われている中で、現在は賃金が昔と変わらない一方で物価は上がり続けているという現状です。
そんな状態の中で子供を作るかと言われると確かに作る気はなくなってしまいますね。
解決策例
日本政府はいまだに少子化対策に成果をあげられていないのが現状ですが、国内の自治体や日本以外の国では少子化問題に対して一定の成果を上げることができた例もあるので紹介していきます。
国内
兵庫県明石市
写真:泉房穂元明石市長
国内で少子化対策を成功させている例としてよく挙げられる自治体の一つが兵庫県明石市です。
明石市では「5つの無料化」を掲げており、その内容としては
- こども医療費の無料化
- 第2子以降の保育料の完全無料化
- 0歳児の見守り訪問「おむつ定期便」
- 中学校の給食費が無償に
- 公共施設の入場料無料化
となっています。
また、明石市はこの5つの子育て支援施策を「所得制限なし」の無料化にしたことによって、全国的に有名になりました。
明石市が導入した「所得制限なし」の5つの無料化施策は、明石市民だけでなく、全国の多くの人々から高い評価と賛同を得ました。
しかし、このような子育て政策が高齢者施策に負担をかけるのではないか、財源の限られた自治体が同様の政策を実施するのは難しいのではないかという懸念もあります。
しかし、高齢者に影響が出ることや新しい財源が必要でこういった施策を実施できないという考えは誤りだとのことです。
予算の中にはムダな部分が多く含まれており、それらを削減すれば子育て支援などの施策を十分実施できるのです。
明石市の子ども関連予算は、2010年度には125億円でしたが、2021年度には297億円に増加しました。
この増加分には、「所得制限なし」の5つの無料化施策にかかる費用である約34億円も含まれています。
国外
ハンガリー
ハンガリー政府は、子育て支援に積極的な取り組みを行っています。
- 所得税ゼロ
- 3年間の有給育児休暇
- 結婚奨励金
- 学生ローン返済減免
- 体外受精無料化
などがあります。一つずつ見ていきましょう。
【所得税ゼロ】
ハンガリーでは子供を4人目まで産むと、その親は定年まで所得税を支払う必要がありません。
これは世界の中でも初めての試みであったためかなりの注目が集まりました。
【3年間の有給育児休暇】
さらに、子供の年齢に応じて、有給の育児休暇が提供されます。
例えば、子供が3歳になるまでの育児休暇が与えられ、その間に親が社会保障に加入していた場合、特別手当が支給されます。
同様に、子供が2歳になるまでの保育料も支援され、その後も子供が3歳に達するまでの間、親は支援を受けることができます。
また、親が社会保障に加入していなかった場合でも、育児手当が支給され、3人以上の子供を持つ母親には子育て支援手当が提供されます。
これらの政策は、多くの家族が子育てをより円滑に行えるよう支援しています。
【結婚奨励金】
結婚を奨励するために、ハンガリー政府は様々な支援策を導入しています。
例えば、新婚カップルには税額控除が提供され、結婚後2年間毎月15ユーロの税額控除が行われます。
これは、少なくとも一方が初婚であるカップルを対象としています。
さらに、妻が妊娠すると、妊娠91日目から給付金が支給されます。
2018年7月からは、無利子ローン制度も導入されました。
この制度では、18歳から40歳までの夫婦が3万ユーロの無利子ローンを受け取れます。
月々の返済額は150ユーロ以下で、最初の5年間に子供が生まれると、3年間の返済が猶予されます。2人目の子供が生まれると、さらに3年間の返済猶予と元本の3割の帳消しが行われ、3人目の子供が誕生すると残りの借金は全額免除されます。
また、マイホーム補助金制度(CSOK)もあり、3人以上の子供がいる家庭が新築の不動産を購入する場合、3万ユーロが現金支給されます。
さらに、住宅ローンの金利にも補助があります。中古物件を買う場合も補助金があり、子供の数に応じて補助額が異なります。
【学生ローン返済減免】
また、学生ローンの返済減免制度もあります。
大卒以上の女性が出産すると、妊娠3カ月目から3年間、学生ローンの返済が停止されます。
第二子を出産した場合は、残額の5割が免除され、第三子を出産した場合は残額全額が免除されます。
さらに、出産後2年間の保育料も給付されます。
【体外受精無料化】
2017年以降、ハンガリー政府は体外受精費用の負担を軽減するための施策を導入しています。
第一子については、最大5回までの体外受精費用を全額補助し、第二子以降についても最大4回まで補助されます。2020年2月からは、体外受精に必要な医薬品が100%保険適用となり、無制限に健康保険が適用されるようになりました。
さらに、全国に12カ所の国営不妊治療専門機関が設置されました。これには、首都ブタペストに5カ所、その他の地域に7カ所が含まれています。
フランス
フランスも出生率を増加させる政策において成功を収めています。
特に、2010年には合計特殊出生率が2.03人に達し、この成果を見た日本や他の先進国も、フランスの家族政策に注目しています。
その後、フランスの出生率は2014年以降低下しており、2020年には1.83となりましたが、EU内では最も高い水準を維持しています。
フランス政府は人口減少に敏感であり、家族政策には多額の予算が投じられています。
OECDの調査によれば、2017年時点で、フランスの子ども・子育て支援に対する公的支出は国内総生産(GDP)比で3.6%に達しています。
これに対し、日本の対応は1.79%であり、OECD平均の2.34%を下回っています。
フランスにおける特筆すべき点は、長年にわたる女性の権利と男女平等政策の取り組みにより、「子育ては女性が中心」という概念が完全になくなっていることです。
その結果、子育てに関心のない男性は存在しません。
同時に、子どもを産むのは女性であり、彼女たちの要求や幸福感を尊重する段階に入っています。
まとめ
国内外問わず、少子化対策に成功している国や自治体の多くは育児援助や経済支援に費用を当てていることがわかります。
対して日本政府の子育て支援に対する支出が他の国に比べて低いことは紛れもない事実です。
少子化によって経済力が低下してしまうのは重要な問題であるため、一刻も早く解決に向けた政策ができることを望みます。
それでは次の記事でお会いしましょう。