こんにちは!マサルです
去年の終わりから現在にかけて、著名人の性加害問題が多くなっているように感じます。
特にダウンタウンの松本人志の性加害疑惑に関しては連日度々ニュースにされており、現在も新たな女性が被害を文春に告発したと話題になっています。
さらにはサッカー日本代表の伊藤純也も先日、女性が性加害を受けたと告発し、代表メンバーから外れるという事態も起こりました。
また、国外でも中国系カナダ人で韓国の男性グループ『EXO』の元メンバー、クリスが複数の女性を泥酔させわいせつな行為をしたとして、強姦罪や集団わいせつ罪に問われ懲役13年の有罪判決を受けました。
そんな中でクリスに関しては刑期を終えた後、中国から国外追放されるとし、国籍のあるカナダへ送還され去勢手術が施されるとのことです。
日本では性犯罪者への去勢手術が認められていないのですが、今後はどうなっていくのか、去勢が実施されている国では性犯罪は減っているのかなどまとめましたのでぜひ最後までご覧ください。
・去勢とは何か
・性犯罪者への去勢が行われている国
・去勢が性犯罪の減少に効果があるのか
・日本での性犯罪再犯防止対策
去勢とは何か
まず最初に、去勢が何かわからないという人もいるかもしれないので紹介させていただきます。
去勢(きょせい、英語:castration)とは、人間の男女、または動物の雌雄の生殖に必要な部位を切除すること。
参考:『Wikipedia』
また、去勢にも2種類あり、物理的去勢と化学的去勢があります。
では次にこの2つの去勢についての紹介をしていきます。
2種類の去勢
物理的去勢
物理的去勢はヨーロッパをはじめとする広い地域で古代に行われていました。
性犯罪者に対する去勢は、刑罰として、また、再犯防止のため、ヨーロッパを含む広い地域
で古代から実施されてきた。物理的去勢は男性の精巣を摘出する外科手術により行われ、これにより体内のテストステロンが劇的に減少することで、性的欲求が大幅に低下する。
引用:『性犯罪者の化学的去勢をめぐる現状と課題』 小沢 春希
しかし現在は物理的去勢は、人権を侵害する異常で残酷な処置でもあると考えられているため、多くの国で取り留められています。
化学的去勢
物理的去勢に変わって1960年代以降、化学的去勢の実施が始まりました。
化学的去勢は、アンドロゲン除去療法とも呼ばれ、抗アンドロゲン薬を利用した、性的欲
引用:『性犯罪者の化学的去勢をめぐる現状と課題』 小沢 春希
求及び性機能を思春期前の水準まで低下させる治療をいう。
ここで出てきたアンドロゲンの代表的なものとしてあげられるのがテストステロンで、性犯罪の背後には、生物学的にテストステロンが関与し、これが性的な興奮や性的衝動に影響を与えるという考え方があります。
このため、化学的去勢が性犯罪のリスクに対して重要な影響を持つとの意見が存在しています。
去勢が行われている国
近年実施されている去勢は主に化学的去勢の方なので、これ以降は主に化学的去勢について取り扱っていこうと思います。
では実際、どの国が去勢を実施しているのか見ていきましょう。
- ・インドネシア
- ・タイ
- ・ポーランド
- ・ロシア
- ・モルダビア
- ・エストニア
- ・ウクライナ
- ・カナダ
- ・フランス
- ・デンマーク
- ・ドイツ
- ・イスラエル
- ・カザフスタン
- ・ノルウェー
- ・スウェーデン
- ・アメリカ
- ・韓国
となっています。
しかし、これらの国でもそれぞれ違いが存在します。
例えばアメリカやポーランドなどの国は化学的去勢が義務として行われています。
それに対し、ドイツやフランスのような人道的な観点から見て、化学的去勢を行う際に本人の同意を得る必要があります。
また、インドネシアやエストニアは未成年者に対して性犯罪を犯した人々の化学的去勢のみを認めている
など国によって様々な違いがあることがわかります。
去勢によって性犯罪は減少しない?
去勢により性欲を抑えることが可能
化学的去勢を行うことによって、体内のテストステロンを分泌を抑えることにより、性欲を抑えることが可能になり性犯罪に大きな影響を与えると考えられています。
実際スカンジナビア地域で実施された調査では、化学的去勢を受けた者の性犯罪再犯率は、受けていない者が40%であったのに対して5%程度にまで低下したと報告されています。
しかし、化学的去勢を行なっている国の中にも性犯罪の発生件数が減少していない国も存在します。
化学的去勢が性犯罪件数の減少に影響を与えていない国
インドネシア
インドネシアは化学的去勢を実施している国として紹介しましたが、議会が法令を認めて以降、未成年者に対する性的暴力の事件がさらに増加しているとのことです。
インドネシア証人被害者保護庁(LPSK)によると、2017年に児童の性的虐待の被害者70人が報告され、2018年には149人に増加した。一方、2019年8月までに、この数字は1,200人近くの犠牲者、つまり報告された人々でした。
さらに、女性に対する暴力に関する全国委員会(Komnas Perempuan)によると、2021年に国内で338,496件の性的暴力が報告され、前年に比べて50%増加しました。
引用:『化学的去勢:どの国がそれを適用し、その結果はどのようなものでしたか?』
日本と韓国の比較
では次に、性犯罪者への化学的去勢を実施している韓国と日本の性的暴力の発生件数を比較して見ましょう。
年 | 韓国 | 日本 |
---|---|---|
2010 | 36.8 | 6.5 |
2011 | 39.1 | 6.3 |
2012 | 39.2 | 6.7 |
2013 | 44.3 | 7.1 |
2014 | 41.6 | 6.7 |
2015 | 41.9 | 6.2 |
2016 | 43.5 | 5.6 |
参考:韓国 日本の7.8倍の性犯罪 11年前からの化学的去勢の効果は?
韓国が性犯罪者への化学的去勢の実施が合法になったのが2010年ですが、このデータを見る限り、化学的去勢は性犯罪の減少に効果があまりなく、むしろ性犯罪件数は増加しているということがわかりますね。
これらの例から分かる通り、化学的去勢を実施することによって性犯罪の発生件数が確実に減るということはないのです。
性犯罪を減らすための取り組み
では、なぜ化学的去勢を行なっている国同士ではあるものの地域によって犯罪件数が減った地域もあれば変わらない地域もあるのでしょうか。
現時点ではそれはまだ不明であるとされています。
日本では化学的去勢は人道的な観点から実施を認めていない現状ですが、ネットではこれに対して「今すぐ実施するべき」という声が多くを占める一方で「去勢を認めるのは合理的でない」という意見も少なからず見られることができます。
日本での取り組み
では現在日本では性犯罪の再犯を無くし、性犯罪件数をなくすためにどのような取り組みが行われているのでしょうか。
- 刑事施設における性犯罪者処遇プログラム:
- 法務省矯正局と保護局が共同して立ち上げた性犯罪者処遇プログラム研究会。
- 平成18年度から性犯罪再犯防止指導を特別改善指導の一環として実施。
- 少年院における性非行防止指導:
- 平成24年に「矯正教育プログラム(性非行)」を開発。
- 平成27年度から性非行防止指導を特定生活指導の一環として実施。
- 情報の相互引継ぎ:
- 刑事施設と保護観察所との間で性犯罪者処遇に関する情報の相互引継ぎが行われている。
- 法務省と警察庁との間で子供を対象とする暴力的性犯罪等に係る受刑者の釈放等の情報共有がなされている。
- 更生保護における性犯罪者処遇プログラム:
- 平成2年度から、「性犯罪対象者」の類型を設定し、類型別処遇を行っている。
- 平成18年度から性犯罪者処遇プログラムを実施。
参考:『第6編 性犯罪者の実態と再犯防止』法務省
以上から、日本では主に性犯罪を犯した人への指導や情報共有といったような対策をしてることがわかります。
しかし、日本は他の国と比べて性犯罪者への罰則が緩いのではないかという意見は数多くあるのは紛れもない事実で、実際そのように思えます。
まとめ
元受刑者が出所してから10年間を追跡した調査によれば、殺人罪で服役した者が再び殺人犯となる確率は1%未満でした。
殺人は最も深刻な犯罪でありながら、再犯率はほとんどないと言えます。
一方で、「魂の殺人」と呼ばれる性犯罪は同じ犯罪を再び犯す者が15.6%に達しました。
性犯罪は被害者の身体だけでなく、心の奥底まで深く傷つけ、時には被害者を自殺に追い込む形で間接的な死に至る可能性があります。
去勢が性犯罪への根本的な解決になっていないなどの主張、実際にデータとして犯罪件数が減っていない国もあるという現状を受け止めて、国内外問わずこの問題に対しもっと深く議論されていくべきではないのでしょうか。